BSEはMySQL Enterprise Editionを活用して、1日あたり1億5000万件の取引と50億件の注文を処理しています。
導入と背景
同社は、株式、債券、株式デリバティブ、通貨デリバティブ、金利デリバティブ、投資信託の取引を行い、また、株式の貸借取引も手がけています。以前はボンベイ証券取引所（Bombay Stock Exchange）として知られていたBSEは、インドの資本市場の発展において重要な役割を果たしています。その取引システム「BOLT Plus」は、ドイツ取引所（Deutsche Börse）のT7取引技術を基に構築されています。
経営課題と目標
2019年、飛躍的な成長を遂げた6年後、BSEはデータベース・パフォーマンスの向上とトランザクション処理の高速化の必要性に迫られました。MySQL Community EditionからMySQL Enterprise Editionへの移行後、レスポンスタイムはミリ秒からマイクロ秒へと飛躍的に向上し、1秒あたりの注文処理数は30%増加、データベースの実行速度は70%向上しました。
5年後、創立150周年を迎えようとしていたBSEは、新たな課題に直面しました。買い注文と売り注文の件数が900%増加し、株式デリバティブ市場の1日あたりの取引件数は10倍以上に急増したのです。売買注文の件数は1日あたり5億件から50億件へ、約定件数は1,000万件から1億5,000万件へと急拡大しました。デリバティブ事業の再始動によるこの5年間の急成長に対応するため、大量のデータ取引を処理し、高可用性を確保し、取引データへ迅速にアクセスできる、堅牢で信頼性の高いストレージシステムが不可欠となりました。
ビジネス成果と指標
MySQL Enterprise Edition の導入により、BSEは取引量の900%増加にスムーズに対応し、すべての取引データを確実に保存できるようになりました。デリバティブ事業の成長に伴い、過去最高の売上高を記録する中でも、BSEはMySQLをデータベースエンジンとして活用し、増大し続ける負荷の下でもマイクロ秒単位の応答速度を維持しています。
証券取引所にとってデータストレージは極めて重要であり、MySQLのストレージエンジンは、数十億件のタイムスタンプ付き取引記録と、BSEの主要な取引基準データ（マスター情報、金融商品、価格帯、レンジ、計算式など）への継続的なアクセスを保証します。
MySQLのデータ永続性により、取引記録、取引履歴、その他の重要データは安全に保存され、必要に応じてエンドユーザーが取得できるだけでなく、規制機関による監査や、トレンド分析、予測、戦略的計画のためにも活用されています。
システムの継続的な最適化により、BSEは900%のワークロード増加にも性能を維持したまま対応できました。MySQLのThread Pool機能と「最大トランザクション制限（Max Transaction Limit）」の導入により、同時実行されるトランザクション数を効率的に管理し、サーバーのパフォーマンスを向上させています。
さらに、取引量の増加に伴い、マッチングエンジンの追加とMySQLインスタンスの拡張が必要となりました。1日あたりの取引件数が1,000万件、注文件数が5億件の時点では、BSEは1つのMySQLインスタンス上に4つのマッチングエンジンを配置していました。しかし、事業規模が900%拡大した現在、デリバティブ取引向けに10、株式取引向けに4つのマッチングエンジンを運用し、さらなる追加も計画しています。各マッチングエンジンは複数のMySQL Enterprise Editionノードに分散配置され、システムの最適化が進められています。注文がマッチングされると、約定価格、数量、時間などの取引詳細がMySQLに書き込まれ、データの永続化と規制遵守が確実に行われます。
また、MySQL Premier Supportと連携しながら、パフォーマンスチューニング、データベースサイズの最適化、構成管理のアドバイスを受け、プラットフォームのさらなる改善を継続しています。データの暗号化、バックアップ、災害復旧など、MySQLのセキュリティ関連機能も活用し、BSEの信頼性と安全性を高めています。
なぜMySQL Enterprise Editionを選択したのか？
MySQLデータベースを10年にわたり使用し、2019年にMySQL Enterprise Editionへ移行したBSEは、パフォーマンス、スケーラビリティ、ストレージの最適化によって、継続的な成長の課題に対応し、コア取引プラットフォームのスムーズなスケールアウトを実現できると確信していたからです。